青年海外協力隊(ベナン)雑記

JICA青年海外協力隊/西アフリカ/ベナン共和国 /小学校教育

青年海外協力隊はどんな仕事をしているの?職種と要請内容と現地の実際

※青年海外協力隊・・・JICAボランティア。20歳~39歳の人が応募できる。活動期間は2年間。「ボランティアをしたい」という意思がある日本人が、それぞれのスキルや経験を活かして、途上国で働きます。

 

こんにちは、Mahoです。

現在、青年海外協力隊に現職参加中です(2016年9月~2018年9月)。

西アフリカ・ベナンで、小学校教育をしています。 

 

前回の記事を書いた後で、「協力隊の職種について話してください」とお題をいただいたので、書いてみることにします。

今回の記事は、後半がメインです。自分の経験を踏まえて、私自身が、受験前に聞いておきたかった話を書きました。

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【協力隊の職種とは何か】

私が協力隊に合格したことを伝えた時、周りからは「どこの砂漠に井戸掘りに行くの?」「どこのジャングルに木を切りに行くの?」と言われました。

協力隊ってそんなイメージなのかぁと、そのたびに大笑いしたのを覚えています。

ということで、青年海外協力隊の「職種」について、簡単に説明したいと思います。

この項目は、知っている人は知っている話なので、読み飛ばしていただいてもだいじょうぶです。

 

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協力隊の仕事は、井戸を掘ったりジャングルを切り開く仕事ばかりではありません。

技術系では行政関係、農業関係、工業関係、人的資源系では教育分野、保健医療分野、社会福祉分野、など、ほかにも様々な職種があります。

具体的には、学校教育が行き届いていない地域の小学校教育、食糧難の改善を図る野菜栽培や家畜飼育、村人や女性の自立支援のためのコミュニティ開発、自動車の整備ボランティア、日本語教師、看護師、助産師、などなど。

そして、この職種でやってほしいこと(=要請)というのが、各国の各配属先によってひとつひとつ違います。

つまり、同じ「小学校教育」という職種の中でも、α国のA市では算数、B市では図工、β国のC市では体育、D市では理科、というように、国と配属先によって、具体的にやってほしいこと(=要請)が違うのです。

 

【職種の選び方】

ここも基本知識なので、すでに知っている方は読み飛ばしていただいて大丈夫です。

協力隊志望者がまず最初にすることは、職種別要請一覧を見ながら、国と職種と要請内容を選ぶことです。

国によって、ある職種、ない職種があります。

「職種は日本語教師をやりたい、国はケニアに行きたい」と思っても、ケニアに日本語教師の要請がなければ、選ぶことができません。国を選ぶか、職種を選ぶか。

選び方は、大きく分けて3つあると思います。

 

     ①  行きたい国を先に決めて、その中で自分に合った職種を探す

     ②  職種を先に決めて、その職種のある国の中から行きたい国を絞っていく

     ③  職種も国も関係ない、とにかく協力隊に行きたい、という場合は、倍率や合格しやすさなどを分析して、そこから選ぶ

 

ちなみに私は、②のタイプでした。

f:id:mahomaho818:20170629024145j:plain Photo by Maho

 

【要請内容】

ココからいよいよ、具体的な話をしていきます。

要請内容については、行ってみたら話が違った、などあてにならないことも多いし、希望が通るとは限らない部分なので、最終的な決定材料にはしない方がいいと思います。

でも、最初に職種を決めるときには、「この職種はどんなことをするのかな」とか、国ごとの傾向や情勢などがイメージしやすく、参考になると思います。イメージや傾向をざっと把握するために使える部分だと言えます。

 

それと、世界情勢の変化などで、派遣される国は、直前になって急に変更になることがよくあります。場合によっては、派遣期間中に変更になることもあります。国が変わるということは、要請内容も変わるということなので、そういう意味でも、要請は、あくまで応募の入り口でイメージや傾向をつかむためのもの、ととらえておいた方がよいです。

青年海外協力隊の場合、職種は1つ、要請(=国)は第3希望まで選べます。

 

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【選んだ理由】

私の例を書きます。

私は、やりたいことが「子どもと関われるもの」とはっきりしていたので、それを基準に、資格や経験がなくても受けられるものを、選んでいきました。

職種別要請一覧の冊子を取り寄せて、要請内容を見ながらマーカーをつけたり×をつけたりして絞っていって、あとはその職種の中で行きたい国(=要請)を、適当に目をつぶって、画びょうをさして選びました。国はどこでもよかったので。今となってはどの国を希望したかも覚えていません。

職種さえ決めてしまえば、あとはJICAの方で私に合った国や要請をマッチングしてくれる、と思っていたので、それ以上は考えなかったです。

 

実際、私は教員免許も実務経験もないのに、それらが必須の国(=要請)ばかり、希望の欄に適当に3つ書いてしまったのだけれど、結果は合格でした。

ただ、その分、ちゃんと自分に合ったところに配属してもらえるように、応募書類や面接では、自分のできることとできないこと、やりたいこと、自分には教員免許や実務経験がないことなど、包み隠さずしっかり伝えるようにしました。

ちなみに、国は、希望欄に書いてもいなかったベナンに決まりました。

 

f:id:mahomaho818:20170629022346p:plainPhoto by Maho

 

【実際何をしているか】

そうして派遣が決まったベナンの小学校教育、私は今、管轄の小学校を巡回して、音楽、リコーダーを教えています。

ちなみに、当初の要請内容は「算数教育の質の向上」です。

・・・全然違いますね。

 

合格してから現地に来るまで、私はベナンで、算数の基礎能力的なこととか指導の技術的な部分での補完が求められているんだと思って、そのために何ができるか、一生懸命探そうとしていました。こどもたちに、算数のおもしろさを、楽しく愉快に伝えたいなあって、わくわくと夢を描いたりもしていました。

自分が教員免許を持っていないことが軽くプレッシャーになっていたので、教員採用試験の本を読んだり小学校の先生に話を聞いたりして、独学で算数の指導法の勉強もしました(今となっては、その努力、一切役に立っていない)。

 

算数の要請だったのに、なぜ音楽をやることになったのか。

それについては、職種の話題ではなく、現地の実情だとか活動内容のお話になってしまうので、ここでは詳しく書きません。

ここで言いたいのは、要請とは全く違う活動、それも、自分でも想像もしていなかった活動をしているよ、という部分です。

任地に配属されて配属先の長に最初に言われたのは「前任者の活動や書類上の要請内容には、とらわれないでいい。あなたはあなたにできること、やりたいことを、自由にやってください」ということでした。

このセリフ、一見いいこと言ってるように聞こえますが、実はいろいろ問題ありです。

・・・ということが分かった上で、ここでは、「要請内容にはあんまり意味がないよ、とらわれる必要はないよ、実は現地の人もあんまりこだわってないよ」というエピソードとして、あえて出しました。

f:id:mahomaho818:20170629024522j:plain Photo by Maho

 

【要請との距離感】

上に書いた「一見いいこと言ってる風だけど、いろいろ問題あり」の発言について、要請の考え方に関わってくる部分なので、ちょっとだけ触れます。

 

最初の1か月は、職場の長や同僚たちに、折に触れて「私にどんなことを求めていますか?どんなことをしてほしいという希望はありませんか?」と尋ねていたのですが、その度に「何をやってもらっても、役に立つ。だから、これをやってほしいという希望は特にない。日本のよいものを、何でも全部やってください。ベナンにとっては、日本のものはすべて良いです」と、言われ続けました。

 

「日本のものはすべて良いです、だから何でもやってください、いいもの全部やってください」というのは、

相手が何も考えていないということだし、完全に受け身でいるということだし、

私は日本のものをそのままベナンに取り入れに来たわけではないし、

「いいものぜんぶやってください」じゃなくて、あなた方がどう変わりたいか、が先にあって、

私たちはそのお手伝いをするだけなんだよ、だからあなたも一緒に考えるんだよと、

突っ込みどころや言いたいことはたくさん出てきますが、要は、そういうことです。

f:id:mahomaho818:20170707235305j:plain Photo by Maho

 

そう、協力隊が現地に来てすることは、まずはこういうこと。

要請と現場との温度差に、まず戸惑う。一瞬やるべきことを見失う。

そこからコミュニケーションを取って、相手を知ったり自分を知ってもらったり、状況を把握していったり。

いきなり具体的な仕事を始められるわけではなく「えっ、こんなところで?」というようなところでたくさんつまづいたり立ち止まったりしながら、その中で、要請内容や書類からは見えてこなかった問題や、自分が取り組みたいと思うことが見えてきたりします。この段階で、初めてです。

まさに、現地に来てみないとわからないこと、来てみて初めてわかることのオンパレード。

 

これが、人によっては「来てみたけど仕事がない」「必要とされていない」「話が違う」というとらえ方になるのかもしれません。コンピューター隊員なんかだと、コンピューターの技術を教えに来たはずなのに、肝腎のコンピューターがなかった…とか。「活動できないじゃん!」って、なりますよね。

でも、仕事はあります。それが、自分が思い描いていたような仕事ではなかっただけで、ちょっと、想像をはるかに超える事態だったりするだけで、やろうと思えること(成果を出せること、ではない)は、いろいろ思いつけます。そしてそれは、自由に決めていけます。

要請との距離感って、そんな感じです。よく言われる「要請なんて、あってないようなもの」というのは、私なりの理解だと、そういうことです。

 

【そこはがんばるところじゃない~国際協力の考え方・立ち位置~】

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自分が何の助けにもならなくて、やれることがない、こんなことしても役に立たない、どうしたらいいんだろうって思う日もたくさんあるけれど、そういう時って、私たちががんばることじゃない部分でがんばろうとしちゃってる時だな、と思います。

基本的には、その国の人たちががんばることなんです。苦しくなるっていうのは、がんばる方向性がズレているということ。はっきり言って、この国の人たちが変わりたいと思っていないのなら、変わらなくたっていいんです。変わることを押しつけるのは、こちら側のエゴ。変わるか変わらないか、選ぶのはこの国の人たち自身。がんばるのも、この国の人たち自身。

 

「何かやって、私たちの国を発展させて、いいことやって」って言われて、その期待に答えようとするから、自分を無力に感じて苦しくなったりする。相手との温度差にイラついたりもする。(←例:「お前も働けよっ」とか思ったり。)

もうひとつは、無意識のうちに、自分の存在意義、存在価値を見出そうとしてやっちゃってる場合(はた迷惑ですよね)。「ここで何かやらないと、成果を出さないと、自分が来た意味がない」と焦って、自分の存在意義を保つためにがんばってしまう。

これはどちらも私自身の経験です。他の人はどうなんだろう?

でも、今ならわかります。「そこは私ががんばる所じゃない」って。それがきちんとわかっていれば、逆に、できることって、いろいろ見えてくる。

 

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そう、不思議なことに、そう思えば思うほど、自分にできることって見えてくる気がしています。私の場合は、子どもを笑顔にすること、という原点に立ち戻れます。「それが何の役に立つの?」ではなくて。それで、ふと振り返ると、日常の小さな変化や成長が見えることがあって、小さく感動したりする。

少なくとも、私はそういうことがしたくて、ここに来た。

そういう形の国際協力がしたくて、ここに来た。

自分の存在意義を見出すためでも、この国を変えるためでも、手っ取り早く発展させるためでもなくて、この子たちの人生に、少しでも楽しくて明るい体験を作りたくて、ここに来たんだった、と、思い出す。

 

そしてそれができるのは、協力隊ならではだなあ、ありがたいなあと、やっぱり私は思うのです。

こういうのって、協力隊ならではの面白さだなあ、と。

国際協力ということに、職業として関わったり、旅行で来たりするのとでは、また違う視点ができる。

 

って、偉そうに書いてしまったけれど、それでもしょっちゅう迷子になって、わからなくなって、泣いたり笑ったり怒ったり、そんな日々です。

 

今日の記事が、派遣後のイメージがなかなかわかない、要請とか職種の決め方に悩んでいる、という方にとって、少しでも参考になればうれしいです。

 

【まとめ】

職種や要請の詳細は、協力隊HPへ!

要請内容を、最終決定の判断材料にしない。

あくまで入口でイメージをつかむための参考と考える。

要請はあてにならないので、関わり方は、柔軟に、臨機応変に。

できることは必ずある。(向き不向きはあるかもしれない)

 

 

Maho 

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